映画 すずめの戸締り 感想
今回は、映画 すずめの戸締り の感想です。
・あらすじ
急襲の静かな町で暮らす17歳の少女鈴芽(すずめ)は、「扉を探しているんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山の中の廃墟で見つけたのはぽつんとたたずむ古ぼけた扉。引き寄せられるように扉に手をかけると…
・スタッフ&キャスト
岩戸鈴芽 声:原菜乃華
急襲の静かな町に住む17歳の女子高生。過去に扉を開けて向こう側へ行ったことがある。
叔母と暮らしている。
宗像草太 声:松村北斗
災いが出てくる扉を閉める「閉じ師」を代々行っている青年。鈴芽と出会い、ある出来事により椅子に変えられてしまう。
・ネタバレ
小さな女の子-岩戸鈴芽が果ての見えない雪道を歩いています。「お母さん、どこ?」と今にも泣きそうな声でお母さんを呼びますが聞こえるのは吹雪の音だけ。いつしか歩いていると目の前に扉が現れました。その扉に手をかけ開けるとそこには星々が煌めき美しい草原が広がっていました。そしてそこに足を踏み出してーーーー、というところで目を覚ましました。どうやら夢だったようです。
朝食を食べ、自転車で坂道を下っていると黒髪の少し長めの男性がこちらを歩いてきました。「きれい」思わずそう思ってしまうような美男子に何も言うことができずそのまま通り過ぎようとすると「すみません、ここらに扉はありませんか?」そう聞いてきたので鈴芽は、向こうの山に廃墟があるので、と指をさします。男性はありがとう、と感謝の言葉を言って山の方へ向かっていきました。
踏切近くで友人と会う鈴芽、そのまま学校に行こうとしますが先ほどであった男性のことが気になり山へ向かいます。山の、立ち入り禁止を超えた場所に廃墟がありました。そこを歩いていくとほぼ骨子だけになっているドーム状の建物に向かいます。「ここだよね」と向かった先には水の張っているところにポツンと古ぼけた扉が一つありました。あたりを見渡すもそこに男性はいません。ですが、今朝見た夢を思い出し扉に向かいそして開けます、するとそこには夢に出てきたきれいな星々と草原が広がっていました。そこへ向かおうとするとそのまま通り抜けてしまい何度もその場所に行こうとするも家㏍直通り抜けてしまいます。繰り返しているうちに何か足に当たりました。足元を見ると何かを模した石がありました。それを拾うと、だんだんとドライアイスのような煙を上げ、そこには石ではなく動物がいました、それに驚き手を離すとその生き物は走り去っていきました。
結局何もなくそのまま学校へ向かった鈴芽、昼休みに友人と昼食を食べていると、先ほど向かった山から何か煙が上がっていました。友人たちにそのことを言うと何も見えていないと返されます。そして携帯から緊急地震のアラートがなります。すると、先ほど上がっていた煙が枝状に別れて伸びていくのが見えました。それを見た鈴芽は一目散に山へ向かいました。山に入り廃墟へ向かうと先ほどの扉から何か黒いものが勢いよく出てきていました。よく見ると扉を閉めようとする今朝出会った男性がいました。とにかく扉を閉めようと鈴芽も扉を閉じようと加わります。ですが勢いよく飛び出るものに押され力負けしてしまうそうでした。そしてその黒い何かは街にゆっくりと落ち、それと同時に地震のアラームが鳴ります。そしてなんとか扉を閉めると男性が何やら呪文を叫び首にかけていた鍵で扉の錠を閉めると黒い何かがボコボコと膨れ上がり破裂し、雨が降りました。
事態が収束し、男性の方を向くと腕にけがをしていました。どうやら先ほどの黒い何かを対処しているときにけがをしてしまったようです。であった円もかねて鈴芽は手当てをしようと家に誘います。男性はそこまで世話になるわけにはいかない、と断りますが鈴芽の推しに負けてしまい手当てを受けることになりました。そこで、鈴芽は男性に名前を聞くと、男性は宗像草太 と答えました。草太は「閉じ師」と呼ばれる代々続く家業を行っており、先ほど扉から出た黒い何か「ミミズ」が出てくる「後ろ戸」を閉じるために全国を回っているといいます。
家につき、鈴芽が救急箱を探していると、草太は鈴芽の部屋で子供用のいすを見つけます手に取ってみると足が一本ありませんでした。草太は何をするでもなく部屋に会った缶を足の代わりにしてその椅子に座りました。そのままぼーっとしていると鈴芽が救急箱を持ってきました。草太は鈴芽に手当てを受けてながら椅子について聞きました。鈴芽はその椅子は死んだ母の形見でいつの間にか足を一本なくしていた、と話しました。すると、窓際に手のひら大の小さな猫がいました。鈴芽は、すぐに煮干しとミルクを持ってきてその猫に与えました。「うちの子になっちゃいなよ」と鈴芽が言うと、猫は「うん!」と子供のような声で言いました、そして「----お前はいらない。」その瞬間、草太の姿は消えました。鈴芽は草太の姿を探すと、目の前のいすから草太の声が、草太は椅子になっていました。猫は、笑ってどこかへ走り去っていくとそれを追うように椅子になった草太が走っていきました、それに少し遅れて鈴芽も玄関から追いかけていきます。その時ちょうど叔母が帰ってきて何もなかったかを聞くが大丈夫、と返事をしてそのまま走り去ります。そのまま、猫といすを追いかけていくと猫がフェリーに走っていき、草太も追いかけていきます、それを追いかけて鈴芽もフェリーに乗り込みます。そのまま猫に追いつくと、体を返せ!と猫に言いますが、「もう役目はお前に移したから無理」と、幼い声で言ってその場から消えました。もうフェリーは出向してしまってこのまま海を潜るわけにもいかないのでそのままフェリーで一晩を超すことになりました。
フェリーが愛媛に到着し、SNSにあの猫がアップされておりダイジンと呼ばれていました。鈴芽はダイジンを探そうとしますが草太がこのまま家に帰るように言います。ですが、まだいすに戻れていないのでそのまま行ったら怪しまれると指摘され鈴芽に持ち歩いてもらうことになります。
SNSでダイジンが言った場所を追っていると、途中でミカンを積んだバイクが通りすぎ、ひもが緩んでいたのかミカンを落としてしまいます、それを草太の機転で抑え、ミカンの持ち主の海部千果に家業の民宿に泊まらせてもらうことになりました。
夜、叔母から長文のメールが届き、それが嫌な鈴芽はそのまま返事を返すことなくその日は眠りました。
翌日、いらなくなった服をもらい、大臣を探す旅を再開します。テレビを見ると明石海峡大橋にダイジンがいました。鈴芽は千果に礼を言って目的地へ向かいました。
ヒッチハイクで神戸に行こうとする鈴芽たちですが、止まってはくれません。雨が降ってきたのでバス停で雨宿りをしていると、一台の車が止まり、載せていってくれました。車の運転手の二ノ宮ルミは自分たちの子供のお守りをしてもらう代わりに泊めてくれる、といわれ夜も遅くなり泊まる当てもなかったので厚意に甘えさせてもらいました。そこで自宅に案内され、子守に四苦八苦しながらスナックを手伝うことになり、飲み物を注いだりする裏方をやっていると、客のボックス席にダイジンがいました。ルミに大臣のことを伝えると、大臣が猫ではなく物静かな男性に見えていました。こちらに気づいたダイジンは外を出て、鈴芽はそれを追いました。鈴芽と草太がダイジンを追っていくと廃墟となった遊園地につきました。そこで、観覧車の入り口からミミズが飛び出していました。草太は鈴芽に後ろ戸を占めるように言ってダイジンを追いかけました。
ダイジンを追い詰めた草太は要石に戻るよう言いますが「もうお前に移したから無理」といわれます。そして、何とかダイジンをとらえた草太は捕まえた衝撃で電源が付き動き出した観覧車にうつろな様子の鈴芽を見つけこのままではまずい、と思い必死で呼びかけて意識を戻します。
鈴芽が見ていた世界は「後ろ戸」の向こう側の世界の「常世」で「現世」に生きている人間には踏み込むことができないといわれます。
翌日、SNSでダイジンが東京にいることを知り、ルミに別れを告げ東京に向かいました。草太はダイジンを探す前に寄りたいところがある、とマンションに向かいました。そこは草太が借りている部屋でそこに探し物があるといわれ探していると、古い本を見つけました。そこには要石が二つありその両方が抜けたことにより「関東大震災」が起きたこと、そしてもう一つの要石が東京にあることが書かれていました。すると誰かが部屋にやってきました。草太が「芹沢だ、適当に流しておいてくれ」とどうやら知り合いのようでした。ドアを開け話を聞くと草太は大学生で教師を目指しており、教職の資格試験に出なかったことを聞かされました。話していくうちに空を見ると巨大なミミズが現れました。
急いでミミズを追いとうとうミミズの背に乗りました。そしてミミズを登っていくとそこにはダイジンが、草太は「要石に戻れ」といいますがダイジンは自分にはできないと、突っぱねます。
やがて草太は自分自身が要石になっていたことを悟ります。そして体がだんだんと凍り付きこのままで終わるのか、いやだいやだこのまま…、と凍り付いてしまいます。ダイジンは鈴芽にこのままだとたくさんの人が死ぬよ、といい、鈴芽は草太を戻すよう言いますが無理と返されるだけでした。半ば自棄になった鈴芽は草太をミミズにさしミミズは消滅しました。
次に目を覚ました時には、門の前にいました。門の先には物言わぬ椅子となった草太がいました。ですが、何度行こうとしてもたどり着くことはできません。歯がゆく思っていると大臣が現れ、「これでずっと一緒」といわれあんたがやったの!?と怒鳴ります。「もう二度と私の前に現れないで」と拒絶すると大臣は体がしおれ、そのままどこかへ行きました。
鈴芽は、このままいても仕方がない、と草太の育ての親である羊朗の場所へ訪れこれまでのことを話し、どうにかすることができないかを尋ねると、草太の犠牲で多くの人が救われたことを誇る、もうあなたのような普通の人がかかわることはないといわれました。
そのまま互いの意見が平行線に向かうようでしたが、羊朗が鈴芽の意志に根負けし、現世の人間がいけるのは一つの後ろ戸だけ、と情報をくれました。
常世に一度行ったことがあることを思い出した鈴芽は身支度を整え生まれ故郷の宮城へ向かいます。
向かう途中で、駅前で芹澤に声をかけられた鈴芽と口座から現在位置を割り出し追いかけてきた叔母さんの3人で目的地へ向かうことになりました。
途中で雨が降り、パーキングエリアで休憩していると、叔母が路線バスで一緒に戻ろうとしますが、それを鈴芽は「重過ぎる」と言います。
鈴芽は、震災で母を亡くしており叔母が引き取っており、独身の叔母の時間を奪っていると思っていました。
叔母はその発言に対し「引き取りたくなかった」「私の時間を返してよ」と暴言を発します。動揺しながらも叔母に何かが取り付いていることに気づき、誰かと尋ねると「サダイジン」と答え、叔母はその場に倒れました。
雨がやみ、そのままサダイジンとダイジンを乗せて目的地まで向かいます。途中でダイジンがしゃべりだし動揺してハンドルを切ってしまいそのまま路肩へ落ちてしまいます。レッカーを呼ぶのにも時間がかかりそうな田舎でそのまま走っていくと鈴芽は言って走り出し、叔母は追うようにその場に会ったさびた自転車に乗って追いかけました。
鈴芽を乗せ、かつての実家に向かう途中、さっきはあんなひどいことを言ったけどそれがすべてじゃないと打ち明け、二人は実家につきました。
実家は土台が残っているだけで後は何も残っていませんでした。手掛かりを探そうと家の庭を掘り、かつての日記帳を見つけます。日記を読み進めていくと3月11日以降が黒く塗りつぶされていました。ですが、記憶を頼りに、常世へ行った後ろ戸を探すと草に埋もれていた扉を発見し常世へ続く後ろ戸であることが分かり常世へ向かいます。
これまで現れたところからミミズが出てきたことに気づき大臣に教えてくれたことを感謝しました。
常世には、地震で崩れた住宅街に火が燃えあがっていました。そしてそこには巨大なミミズもおり一緒に同行していたサダイジンが巨大化しミミズと戦って鈴芽を向かわせます。
ダイジンが草太を引き抜くとミミズが現世に現れてしまう、といいますが鈴芽は私が代わりに要石になる、死ぬのは怖くない、草太さんを失うのが怖いのといいます。それを聞いたダイジンは鈴芽に協力します。
要石に完全になってしまう前に抜かれたので元に戻る草太ですが、一方でダイジンは鈴芽の子になれなかったというと元の要石に戻ります。
そして、ミミズと戦っていたサダイジンも要石に戻りそうとの手に渡ります。草太と鈴芽が協力して二つの要石をさし、草太が祝詞を唱えミミズははじけて、景色が荒れ果てた震災現場から美しい草原に変わりました。
草原を見るとひとりの少女が歩いているのを見かけました。
それは幼いころの鈴芽でした。常世は過去や現在未来の時間が混ざり合う場所であることを思い出し、鈴芽は幼いころの自分に話しかけます。幼い鈴芽は母のことを訪ねますが鈴芽は母親が亡くなったことを伝えます幼い自分は否定しますが、鈴芽は最初から感ずいていたと見出し、自分の持っていた椅子を心の支えとして渡します。そして後ろ戸へと戻っていく幼い鈴芽を見つめていました。
二人が現世に戻ると各地の後ろ戸を閉めながら東京に戻っていくと言って電車に乗り込みます。鈴芽に再開を約束し電車は出発し鈴芽は叔母と一緒に東京で芹澤と別れ地元に戻っていきました。
それからときは経ち、半そでから長袖になる季節、鈴芽は看護師の勉強をしながら学校へ向かいますそして、下り坂で草太と出会います。鈴芽は草太に「おかえり」といいました。
・感想
作品を見て、ボーイ・ミーツ・ガールでしたが、震災に遭い主人公が親を失ってそれでも生きていくということが後半になって強調されて、前半に遭った「死ぬのなんて怖くない」が主人公によくある啖呵を切ったセリフではなく実際に死ぬことに恐怖がないというのも驚きました。鈴芽と草太、二人に幸あれ。あと、草太の親友の芹澤が見た目のわりに結構いいやつで最後まで手伝ってくれるのは友情を感じました。あと、パーキングエリアで二人の喧嘩が起きた後も気を使ってくれて苦労人な感じがしました。
最後に、この作品は話が結構人を選びますが個人的には失ったものは取り戻せないけれど、それでも生きていくというメッセージが感じられて、個人的にはよい作品だと思います。
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