映画 マイ・ブロークン・マリコ 感想
今回は、平庫ワカ原作漫画の映画 マイ・ブロークン・マリコ の感想です。
・あらすじ
ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨを襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコがマンションから転落死したという知らせだった━。彼女の死を受け入れられないままに呆然自失するシイノだったが、大切な立ちの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られなずに行動を開始。包丁を片手に単身”敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。幼いころから父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか‥‥。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオも巻き込み、最初で最後の”二人旅”が今、始まる。
(公式HPより)
・スタッフ&キャスト
シイノトモヨ 演:永野芽郁
イカガワマリコ 演:奈緒
マキオ 演:窪田正孝
マリコの父 演:尾美としのり
マリコの後妻 タムラキョウコ 演:吉田羊
監督・脚本:タナダユキ
脚本:向井康介
・ネタバレと感想
昼の休憩にラーメンを食べていたところで、ニュースが流れそこで主人公のシイノは、親友であるマリコが亡くなったことを知る。携帯のメールも電話も通じないことで改めて亡くなったことを突き付けられるのでした。そのまま呆然とし、会社をそのままさぼる形になってしまった。次の日、会社に行くと、上司がいつも道理のように部下に怒鳴っている、その内容が分からないことがあるならさっさと聞け、いちいち教えないといけないのか、と典型的なブラック企業のダブルスタンダードな常套句。上司になんで機能は営業をさぼったのか聞かれると、ダチが死んだんで、と一蹴、上司は納得できるはずもなく問い詰めますが無視してそのまま、マリコの住んでいたマンションへ直行、部屋に向かうと、すでに部屋のものはかたずけられており、片付けていた業者に聞くと直葬だといわれます。ここで、過去の回想シーンになり、シイノとマリコが学生時代に花火の約束をしますが、時間になっても来ずに、マリコの家に向かうと父親に虐待されている最中に出くわしました。シイノはドアをたたいて怒鳴り散らしますがあざだらけのマリコを見て言葉を失います。マリコは、私が悪い、いい子じゃないから、と典型的な虐待児であることが描写されます。
次の日、会社へ出社し休憩中タバコを吸いながらマリコに自分は何をしてやれるだろうと考え、携帯を見ます。そして何かを思いついたのかそのまま営業へ向かいます。行き先は、マリコの実家のマンションです。
マンションについたシイノは、家のチャイムを鳴らします、すると出てきたのは、マリコの父の再婚相手でした。どうにかこうにか、部屋に入れてもらうと、遺骨を前にたたずむマリコの父がいました。正直このシーンは見ていてどの面下げて父親面してんだ、と思ってしまいました。そして、マリコの遺骨を奪います。父親は怒鳴りますがあらかじめ持ってきた包丁で威嚇して、そのままベランダから逃走。川を渡って自分のマンションまで逃げていきました。このとき、父親は再婚相手に虐待のことについて問いただされます。再婚相手の方は後の方の描写を見る限り普通にいい人でした。
部屋に戻った後は、どうしようかを考え、過去に、二人で海に行こうと約束をしていたことを思い出しました。ですが、靴は脱いだままで今はありません、なので昔初バイト代で買って吐きつぶしたドクター・マーチンを取り出しましたが、黴臭かったので消臭剤をたっぷりかけました。探し物をしているとマリコからの手紙を入れた箱が出てきました。
カバンに必要なものを入れ、マリコの遺骨を持って目的地へ向かいます、その途中で自殺する際になんの手紙も寄越さなかったことに悲しみながらシイノはマリコとの思い出を思い出し、「マリコ、あんたはどう思っているかわからないけど、あたしの親友はあんただけだったよ。」と、ボソッとつぶやきました。「ねえ、マリコ、本当に手紙を一つも残さず死んだの?」そして、ふと過去にマリコがまりがおか岬のポスターを見て行ってみたいと話していたことを思い出します。そこで、善は急げといわんばかりに、まりがおか岬に向かいました。
目的地へ向かう途中、電車の中で、マリコがシイノに彼氏ができたら死ぬから
、とリストカットをする夢を見ます。シイノは何もこんな時に思い出さなくても、と困惑します。
電車を降り、バスに乗ってまりがおか岬に向かっていると、少しずつ、乗客が下りていき、シイノと地元の女子高生だけになりました。そして、その女子高生が下りて行ったとき窓からシイノは手を振りました。
まりがおか岬のバス停につき後は目的地まで歩いていく、といったところでバイクでのひったくりに会います。返せ!と怒鳴りながら追いかけていきますが、相手はバイク、速さで勝ち目はありません、途中で釣り人の格好をした男がシイノの声を聴き、そしてバイクが通り過ぎます。
にげられその場に立ち尽くすシイノ、そしてそこに釣り人の格好をした男マキオが声をかけてきます。バイクを追いかけなくていいの?と、その言葉でシイノはバイクを追いかけます、がバイクは見つからず結局無一文で遺骨を置いたさっきの場所へ戻りました。すると、なんとマキオが遺骨を守ってくれました。そして、マキオは自分の懐からお金を取り出しシイノに渡します。そして、名乗るほどのモノじゃありませんと去っていきますが、持っていたクーラーボックスにがっつりと名前が書かれていました。
その夜、シイノは、レモンサワーを3倍ほど頼み、酔ったまま妄想のマリコと話します。そして、マリコが、「さっきの人優しかったね」「ああいう人と結婚したいな」「私なんかを好きになってくれるならどんな人でも我慢するよ」というと、シイノが「あんたにはあたしがいるでしょうが!」と大声を出し周りの客も驚き静かになります、ですが、すぐに客が冷やかしますが、客を黙らせお構いなしに「あたし、何度もあの子のこと、めんどくせー女だと思ってたのに、今じゃきれいなことしか思い出せなくなったいく」と号泣しました。
次の日、目を覚ますとシイノはボートの上で寝ていました、そこに偶然現れたマキオが、クーラーボックスから歯磨きしますか?と歯磨きセットを渡されます、最初は断りますが、歯を磨きました。
そして回想、シイノは、マリコを自分の部屋にかくまい、彼氏から守っていました。ですが当のマリコは、彼氏が玄関前に来てシイノが臨戦態勢をとってもベッドに座ってへらへら笑っています、そして、数日過ぎると、また彼氏とあって、今度は腕を骨折した状態で現れます。これにはシイノも「あんた、頭おかしいんじゃないの?」と怒鳴ります、「そうだよ、とっくに壊れているの」とあっさりと返すマリコ。
まりがおか岬に訪れたシイノ、またもや妄想のマリコが現れ、私が悪いって言ってと話しかけますが、シイノの答えは、「あんたは悪くない」、「周りの奴らがこぞってあんたに弱さを押し付けているだけだ」といいます。「いいの、私は幸せになれないの、そう考えた方が楽だもん」とマリコは返します。「だったら、何であたしを置いていった!」「死んでちゃわかんないだろ!」、とシイノは怒りをぶつけます。「ダチの自殺を止められねえってのがどんなにつらいか教えてやる!」と、崖を飛び降りようとしますが、それを見ていたマキオが急いで止めます。
そのまま取っ組み合いになっていると、たすけて、と近くから声がしました、声の方を見てみるとヘルメット男が女子高生を追いかけています、それを見たシイノは手に持ったマリコでヘルメット男に一撃を加えます。その衝撃でマリコの遺骨が飛び散ってしまいます。「マリコ、あんたはいつもそうだ宙に舞って、きらきら光って、重力に逆らえず堕ちていく」
シイノが目を覚ますと、あの世ではなく崖の下の砂浜でした。マキオの話によると、ここから落ちても死ぬことは少ない、といいました。彼も昔は自殺志願者でした。そして近くには、一緒に堕ちたヘルメット男が痛みで悶絶していました。
その後、足は折れていたのか松葉づえで退院し、バッグも帰ってきました。そして、助けた女子高生から感謝の手紙をもらい、そこには、「御恩は一生忘れません」で締めくくられていました。
マキオは、松葉杖のマリコを駅まで送ってさらに帰りに食べてください、と弁当までもらいました。「御恩は一生忘れません」というシイノに「あなたの思い出の中の人とあなた自身を大事にしてください」と見送りました。
自宅に戻ってきたシイノ部屋に戻ると出ていったころと同じ状態でした。そして干されっぱなしの洗濯物を見てマリコとの思い出を思い出しました。彼氏と付き合っているときは電話なんかしないのに、別れたら電話してくる、そしてこのときもそうでした。話によると彼は良い人だけどいい人過ぎて緊張でうまくしゃべれないから別れ、そして別れ際にゴミムシといわれた、と話します。
シイノは、ゴミムシとかいうやつは良い人じゃないね、と断言。二人はおばあちゃんになってもずっと一緒にいようねと夢を語りました。
出社したシイノは上司に退職願を提出しますが、うちはブラックだから人手が足りないから迷惑かけたと思うなら働け!、と目の前で破かれます。労基に訴えてやろうかと思いながら携帯で検索します。
私たちが死んでも日常は変わらない、と悟り、歩いていきます。
そして帰宅すると、玄関に袋が下げられており、脱ぎっぱなしの靴が届けられていました。「住所とっくにばれてんじゃん」とぼやきながら中に手紙があるのを発見します。
部屋でその手紙を読もうとすると、中から見覚えのある字でシイちゃんへと書かれた手紙が出てきました。恐る恐る拾い上げ読んでいくと、やがて、手紙に顔をうずめて、涙を流し、「うん」とうなずきました。
感想としては、ブラック企業で心をすり減らしながらも親友と呼べる人物がいるって素晴らしいな、と思いながら見ていました。個人的には、マキオが作品の清涼剤といえる存在だったと思います。最後の手紙にはいったい何が書かれていたのでしょうか?それを明かさないことがいいのかもしれませんが気になります。
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